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Gypsy.P


Hopeless Knock

Artsist,singer song writer,traveler
アメリカ、キューバ、ジャマイカ、メキシコ、マレーシア、ベトナム、イ ンド,
西アフリカガンビア、ベルギー、オランダ、フランス、ロンドン、その他の国を放浪

魂の旅を続けるシンガー

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Gypsy’s奮闘記〜フジロックでマジシャンのアシスタント初挑戦! 

それは突然のオファーだった。
フジロックのスマッシュUKのボスJasonから直々チリ人のマジシャンのアシスタントをやらないかとオファーが来て、歌うまでフジロックには行かないと決めていたので、検討すると伝えた。
にも関わらず、翌日からマジシャンのリンク先や詳細をバンバン送って来て 笑 これはやるしかないという事かと、一肌脱ぐ事にしたのだ。

フェスの前の週に東京で初顔合わせ。マジシャンのJean Paul Obhaberryは穏やかな人だった。 カメラマンやマネージャー合わせて四人と打ち合わせ。
準備する事はあるかと聞いたがストレッチだけで大丈夫と言われたのでまさかあんな大変な事をするとはこの時は知る由も無かった。

20日バスでチリ人マジシャン御一行と、親友のフミ、ギャズやヨーロッパから来た他のエンターテイナー達とフジロックへ。

現場入り、トレーニングが必要と聞いていたので何をするのかハラハラドキドキ、この日はまだ音響システムが入っていなかったので、全体の流れだけを三回程やり、飲み込みが早い方だったらしく大丈夫そうだね! と言われ終了 笑
えっこれじゃあ体にも染みて来る訳ないし、これだけで明日いきなりRed Marqueeで五千人の前でやれる訳が無いだろうと心の中で思ったのを覚えている。 正直ネタは証せないが箱の中では戦争が起きている。一秒たりとも油断は出来ない状態である。しかも自分は常に箱の中、JPの指の音で全て動くので音楽で聞こえ無かったらアウトな為、かなりそれが不安だった。

この日はフジロックファミリーとBBQをしたが、頭の中は今日やった流れのシュミレーションでいっぱい。
宿は寮みたいなドミトリーとキャンプを用意してもらったが流石にベッドで休みたかった。ルームメートは1年前にフジロックの打ち上げで一度会った事のあるイツカとリョウコ。 これも翌日運命の出会いだと気付かされるのである。

どんな人とは関係無く、共同生活という事もありなかなか寝付けない+朝は起きてしまう状況で寝不足のまま、11時入りで夜中にショーをやるクリスタルパレスの場所でリハ。が、
何度か練習出来るはずが、まだJPの自分のリハや音響準備、様々な理由でなかなか出来ず(流石チリ人、かなりルーズである) 指の音が聞こえないか不安だと話したら、音楽を覚えてくれてれば大丈夫だからといきなりマジックのyou tube 見た?と言われ、初めてそこで曲を聞かされる。今夜の数時間後にはRed marqueeでショーがある。あたしは必死で何度も何度も何度も何度も映像を見て音に合わせて動くシュミレーションをした、が実際リハをやろうとしたら音じゃ無くて僕の指の音だけを頼りに動いてくれと言われ、一体どっちなんだと、怒りを覚えた。何度か練習する話だったが、結局音をつけて流しでやったのは一度だけ。箱から出る時は生まれ変わるように飛び出てくれと言われ、怒りを抑え笑顔に切り替える。

そのまま、マーキーにリハをしに行った。イツカとリョウコもかけつけてくれて、私のワガママに答え、レッドブルを探して持って来てくれたて本当に助かった。

リハの箱を開けたらリハはタイムスケジュールには入っていなく、出来ないと言われた、音楽のボリュームだけは絶対に確認しないと本当に不可能な事だと気がついたら、PAの人に必死で要望して、なんとかしてやらしてくれと怒りながら熱弁してた。 それをドキュメンタリーを撮ってたセバスチャンに映像を撮られてた、、 今はとんないで、一緒にPAを説得してよと本気で思った。 他のチリ人はノータッチで、中にはパレスでの練習中から空気を読めず、日本の歌の歌詞どういう意味か聞いてきたり、本当にのん気な状態に怒りマックス。熱弁のおかげでなんとかさらっと一回だけリハ終了。ちょっと一安心した。

フジロックのクルー達からは皆楽しみにしてるよと、声をかけてくれて、程よいプレッシャーの中に興奮が芽生え始める。

一連の流れから来るストレスと、箱の中での慣れない姿勢から来る体の負荷、そして寝不足から来る体調不良と頭の働かない状態、リハもろくに出来ない状態で数時間後には五千人の前でショーが待っていた。精神的にも、肉体的にも追い込まれていた時、フミがマッサージをやってくれた。フミはフジロック含めミュージシャンの友人にもさっとマッサージをしてはいつもたくさんの人を救うゴッドハンドの持ち主。元々相性の良い彼女とのマッサージセッションはいつも最高の効果があるのだが、今回もピンポイントで速攻性のある治療をしてくれた。身体の調整と頭に血が上り過ぎていたので流す壺を一撃押してもらった瞬間、手先までしばらく痺れた状態になった。 そしてリラックスした状態でメイクアップをした。

現場入り、外はたくさんの人が盛り上がりを見せ、バンドサウンドが心地よく森に響いていた。

衣装はコルセットだった為、イツカが毎回着るのを手伝ってくれた。イツカ自身もロックミュージシャンで機転が早く、時を無駄にしない非常に気のいい女性で、今回のフジロックは彼女の臨機応変なサポートのおかげで落ち着いてやる事が出来た。本当に感謝している。

準備を整え、ショーの30分前にJPと最終シュミレーション。 そこでも急遽変更があり、すぐに頭に叩き込む。

バックステージは、国内外からのアーティストや取り巻きでごった返し。
その中で唯一見つけた車と車の間にある少しのスペースで精神統一、シュミレーション。3回目くらいから身体に染みてくる感覚がした。 そうつまり初めて万全の状態になったのは本番の五分前くらいだった。 考えられるだろうか? そのくらい過酷な状況下でのチャレンジだったという事だ。

ステージ袖に入り、皆も応援に来てくれて、頑張ってねと声をかけてくれたが、きっとその時の自分は究極の集中状態にあったと思う。耳が遠くなるのを感じた。

最初、二曲を流しJPだけがマジックをやり、最後の出番と聞いていたのだが、いきなり箱に入れと言われ、自分は二個終わるまでずっと箱にいてくれと聞かされた。 それもなかなかきついなと思いながら言われるまま箱に入り、ステージ真ん中へ移動。まだ時間があるからと箱の中でリラックスな体勢で待機してたら、すぐあの曲が流れたのだ。
話と違う+すぐに体勢を直す 笑

曲が進み、JPがボックスを上げてチェックするシーンから始まる。
彼の流れを汲み取る。 そして指のサインが聞こえた。最初のアクションを動いた瞬間に湧き上がる観客の声。その瞬間から私は皆を操る箱の中の支配者と変わった。 JPと自分の動きでその場を支配して行く感覚は箱の中の暗闇でも強いエネルギーとなり、彼と観客の流れを読み取りながら動いてゆく。歓声が続く中、いよいよ、クライマックスに。
箱から出る前に隙間光が上から見えたんだが、そこをこれから突き破るのだ。
この頃の心は楽しんでいて、水を得た魚のように、また素面から出てきた人魚のように、勢い良く誕生した。 眩いばかりの光に照らされやっと息が出来たような感覚と共に、大勢の歓声が空中に響いた。
しばらく皆を観ながらまた神秘的に箱に戻る。そこで箱は逆さにひっくりかえされ、また元に戻る。最後にもう一度箱から登場するのだが、この時はもう既に何もかも超え堂々と振る舞っていたと思う。箱から出て、投げキッスをして、優雅に退場。わき上がる歓声の中幕を閉じたのである。JPとやったねっとハグをして、その後、イツカが頑張ったね〜とハグしてくれたら急に今までの気が緩み私は涙を流した。ライブ中に涙を流す事は合っても、終わった後にこんなに気が緩んで泣いたのは初めてだった。本当に大変だった。終わった後、裸足で汚れた私の足を拭く為のウェットテッシュと自分の靴を持って来てくれて、優しさにまた涙が滲んだ。

そこから、フミやチャコちゃん、MadBunnyやともちゃん、皆大勢の人が見守ってくれていて、袖で皆とハグ。皆涙を浮かべながら頑張ったね〜と温かい言葉をくれた。その先にもたくさんのフジロックファミリーが見に来てくれてて、皆大絶賛だった。マジシャンよりも取り巻きが多かった。下手したら出演していたアーティストの中でも取り巻きが多かった 笑 くらいたくさんの人に見守られていたんだなあと実感した。MadBunnyも写真を撮ってくれたんだけど、始まる前の集中力を見て、これは面白い事が起きるぞと直感で思い、思わずシャーッターを切ったんだけど、撮りながら涙が滲んだと言っていた。それほどまでにあのエネルギーは凄まじいものだったのかもしれない。そして、皆授業参観に我が子を見に来た親のような心境になっていたような気もする。

その後飲んだんだけど、フジロックに来て初めてビールの味がした気がする。ちょっとリラックス。宿に帰る前にキャンプサイトに行き、Dubstoreの直樹さんのテントに荷物を置いてもらおうとして、衣装も置こうとしたが何故か持って帰ろうと思って宿に向かった。その道中に車が通り、イツカが呼ぶ声がして、二人共ヒッチハイク状態で宿に到着、今日の興奮の話をしながら盛り上がっていたら、ドレスを掛けようとしたらあらまびっくり、イツカが私の明日の為にと用意してくれたレッドブルがほぼ全部こぼれてドレスがびちょびちょになっていた 笑 しかも蓋は開いておらず、こぼれていて謎の現象。。。。ここまでマジックは必要ないでしょと二人で大爆笑。パニックになりながらも臨機応変なイツカと一緒に洗って干してまたマジシャン達と飲み直し 笑 いやあ、テントに置いていかなくて本当良かったと思った。これもマジックだな。

久しぶりに外でゆっくりとビールを飲んだ。次の日からは夜中のPalace of winderで毎晩ショーがあったのでそれに備えた。でも実際疲れや集中力の持続を保つ必要もあり、朝起きたらまず温泉に行き、体をほぐす、昼食を食べ少しステージサイドでライブを見ながら、他のブースに挨拶をしに行き、東京から遊びに来ている友達と合流したりしながら夕方1時間ほど横になって、また湯船につかり目を覚ましてから、solomonのとこでしっかり食事をし、準備をして11時には現場入り、3時頃までショーをやり、そこから他の友達のライブやDJを見たり、友達や、フジロックのファミリー達と朝まで飲み明かす。そして数時間眠り、また朝起きてから温泉に入って、、、の生活リズムだった。なので今回ちゃんと見れたライブはLee perryとレッチリくらいだったかな。

夜中のステージもタイムテーブル通りにいかず、初日はバタバタ。いきなりやる事になったり2時間空いてステージだったり、約30分おきにやったりとかなり変動していてその度にモチベーションを変えるのは苦労した。もちろんその間もマジックショーの誘導や、その他の裏方の仕事も少し手伝ったりして、その間に素早く着替えて、出番の前に精神統一を速攻でしなければならなかった。かなり忙しい夜が続いた。イツカとリョーコもそんなあたしも見かねて、一緒に手伝ってくれて、イツカが来れない時はリョーコが変わりにサポートしに来てくれたり、フミも何度も様子を見に来てくれて、色んな人に宣伝してくれて、本当にいつも支えてもらってた。

たくさんの人に支えてもらいながら、たくさんの人からよく頑張ったねと励ましと応援の言葉をもらい、たくさんの人から素晴らしかったよと言われ、たくさんの人がリスペクトしてくれた。

今回の挑戦は決して自分の得意分野でも無く、歌という本業でも無く、生まれて初めての体験でいきなりこの流れだったので、本当に本当に苦労した。精神的にも肉体的にも境地に行き、それを超えた瞬間は今でも鮮明に覚えている。でもその時、皆の支えがなかったら、、絶対に成し遂げられなかった。本当に感謝している。一人では生きれないってよく言うけれど、起きる全ての出来事は一人では成し遂げられないという意味なんだと思った。それに、あの短期間で自分がやり遂げられた事は今後の自分にとって非常に大きな自信へと繫がった。今はなんだか怖い物が無い感覚 笑 海外一人旅をずっとしているのだけれど、旅から帰って来た時の感覚に近いものがある。不思議なものだ。

話を持ち出したJasonは大成功だったマジックでフェス中ずっとご機嫌だった。そして私に何度も何度もお礼を言って来た。君無しでは今回の成功は無かった。本当に感謝している、打ち上げで君なら絶対やれると信じていたと言われた。自分の声を使わないでこんなにたくさんの人が感動し、心を動かされ、ありがとうまで言われるのは初めてだ。やはりどんなジャンルでも人に必要とされ感謝される事は気持ちがいいものだな。でも今回Jasonの顔を立てたので、次回は歌わせてくれないだろうかと少々巧み中 笑

東京に帰ってからも連日のパーティーが続き、やっと今日静寂な時間を手に入れた。余韻も残りながら、自分の課題、目標、目指すところにしっかりと着実に進んで行きたい。まずは体を休めたい 笑 

最後に、マジシャンのJP,チリのクルー、音響や総合アシスタントでケアしてくれたNick,イツカ、フミ、リョウコ本当に感謝してます。そして信じてくれたJasonありがとう。

奮闘記はこれでおしまい。また新たな奮闘記を聞かせられるように頑張ります♬

Photo by ITSUKA @itsuka.tv

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