Name
Gypsy.P


Hopeless Knock

Artsist,singer song writer,traveler
アメリカ、キューバ、ジャマイカ、メキシコ、マレーシア、ベトナム、イ ンド,
西アフリカガンビア、ベルギー、オランダ、フランス、ロンドン、その他の国を放浪

魂の旅を続けるシンガー

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原始人は音を奏でて暖を取っていた

こないだの大雪の日 雪が降る事を前日に知ったあたしはなんとかなると思っていた

当日起きた私は深々とつもる雪を見てi got youをかけて高鳴る鼓動を感じていた

雪の中スタジオに行く途中でも何故か心は歌いたいと願っていた

会場について人はちらほら、リハには来たけどライブをしないで帰った人 ギリギリでかけつけた人

結局3バンドが集まりお客さんもちらほら来て 小さなパーティが始まろうとしていた

リハが終わった頃 電車が泊まるという情報にメンバーは帰ろうかと悩み始めた

私の中でやらないという選択肢がなかったので 正直驚いたが気を落ちつかせて

無理しなくていいと言ったが顔は笑えていなかったんだろう

それが伝わったのか皆残り一杯飲み始めて 気づいたらライブをしてた

ライブ中は気持ち良かった

まるで大勢の人が雪の中で見に来てくれたように

歌っている時は気持ちかった

コップから水が溢れるような

浜辺から海の水に最初に触れた時のような

コーヒーの香りを嗅いだ時のような

太陽を浴びた時のような

階段を上りきった時のような

一本の光しかみえない 気持ちいい時間

ライブは終わり 温かい気持ちが残った

メンバーは皆帰ったが皆の安否は心配なのでそこは引き止めずに大人になったつもりだ

ニュースで災害だの、強風だの大騒ぎしてそれに翻弄されている人々を見て 世の中がちっぽけに思えた

そもそもニュースなんて見ない方が人生面白い時があるのにもったない

帰れなくてもなんとでもなるでしょ 死ぬわけじゃあるまいし

今夜という日は二度と来ない どんなに願っても二度と来ない

帰れるか帰れないかわからない時間を悩むよりセッションをして遊びたかった

案の上ライブのあとにセッションをして すっかり外の世界を忘れていた

そのまま酔っぱらいながら語らい ライブハウスで寝た

「どこの国にいてもいつもこうなのか」友達になったダイスケに聞かれ

うなずくあたしに

「そりゃあ危ない目に遭うわ」と言われた

私は「自分の居場所ぐらいわかってるから大丈夫だよ」と答えた

まるであの日は原始時代に氷河期を逃れる為にそれぞれが移動していて、途中で洞窟をみつけて暖を取ったような、音楽を奏でそこで出会った人々とセッションして体を温めた感覚だった

途中で旅路に戻る人もいれば世があけるまで歌ってから旅路に出るもの 皆それぞれ別の生き方で氷河期から逃れ温かい地へ移動するような、そこでたまたま夜を共有した そんな夜だった

何よりも雪でもなんでも一人でも聞いてくれる人がいるなら自分は歌いたいと思った

人の数じゃないんだ どれだけメリットがあるかないかでもない そこには純粋に音楽が好きな人々が集まっていた

温かい夜だった 想い入れのある夜だった

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